アメリカの会社#2

yhsdiary2007-03-03

 出社するとアメリカでは、まずオフィスの留守電のチェックから始まります。 その日の連絡事項や同僚・上司からのメッセージが入っています。 週一回来る、クリーンルーム用品屋さんや隔週で来る安全保護めがねを作ってくれる眼鏡屋さんのアナウンス、避難訓練タウンミーティングの連絡もすべて電話連絡でした。 このメッセージは、社内外どこからでも聞けて便利です。 
 オフィスには各自専用の電話があります。 他の人の電話をとる必要がないので手間が省けて快適です。 日本では、居室でデスクワークをしていると、電話番になってしまうこともしばしば。 個人の時間が確保されているアメリカは仕事が効率的で集中するには最高の環境だったと思います。 通信会社だったこともあり、オフィスからは国際電話もかけ放題・・との話でしたが、私はそんなに乱用してませんよ。  
 入社直後は、静かな個人オフィスに机と椅子、棚と電話だけが準備されています。 必要なものを徐々にそろえていくことになります。 既に留守電にいくつかメッセージが入っていて、「パソコンがいつ届くとか」、「何時にガイダンスがある」とか、やるべきことがすべて連絡されています。 アメリカの日常生活もそうですが、まずアメリカ生活は電話から始まるといっても良いですね。 
パソコンが届くと設定。 隣の州に管理センターがあって、まずそこにPCが届いたことを電話連絡。 起動するためのIDとパスをもらうのですが、電話をするといきなり「IDは何ですか?」と聞かれて・・・、「まだIDは無いので下さい」と言うと、また「だからIDを言ってください」と聞かれます。 こちらも初めての経験で、冷静さを失っているので、同じようなやり取りが何度か繰り返されて、そのうちオペレータが「それじゃ、私が勝手に決めますね」と・・・。 やっと冷静になって、「自分で好きなIDを決めてよかったのか・・・」、と気がついたのが入社当初の出来事です。 そんな失敗を繰り返しながら生活がスタートします。
 オフィスの椅子は、肘掛付きで背もたれも高くとても大きなものでした。ルームメイトのブレント君は身長が2m、体重も100kg以上はありましたが、彼にとっても椅子は十分な大きさがありましたからね。 私は椅子の上で正座もあぐらもかけましたよ。 ちょっと疲れているときはゆりかごのように仮眠もできます。
 ブレントは、アメリカでは珍しくストレートで博士号(PhD.)を取り、私の1週間前に入社したシカゴ出身の青年でした。 そのしゃべり方や笑い方はブルースブラザースのダン・エイクロイドにそっくり。 シカゴの人ってみんなこんな風にしゃべるのかなって思いました。 彼は私の英語や会社生活の師匠です。 たまに私が偉そうに社会人の心得などを説くこともありましたが、彼は真剣に耳を傾けてくれました。 ブレントは、ちょっとやせれば十分映画俳優という容姿だったと思います。 彼の彼女はブロンドヘアの舞台女優さんでした。
 アメリカは日本の様に新入の時期が春とは決まっていません。 私の居た会社では毎週新人が入社して、月曜日がその週のガイダンス開始日でした。 ブレントは、入社して半年ほど経ったある日、「明日から一週間の休みを取るよ」と言うので、「旅行かい?」とたずねたところ、大学の卒業式があるからシカゴに戻るとのことでした。 彼は早々と単位を取り終えたので、卒業前に就職したそうです。 なんとも合理的というか・・・。 このように毎日自分の常識とかけ離れた経験ばかりだったので、アメリカ生活では日本で蓄積された常識というものが完璧にリセットされました。
 右上の写真は会社の裏庭から続く、コーン&麦畑の中を真っ直ぐ伸びるローカルな道です。