その2:初めてのブルーグラス演奏

ブルーグラスを始めて聞いておよそ10ヶ月が過ぎた頃、内藤はめでたく現役合格で茨城にある山のふもとの某有名国立大学の大学生。 私は、いつも身近にいた祖父が、共通一次試験の2日後に61歳の若さで他界したショックでその後は受験にも身が入らずこちらもめでたく浪人生。 
 内藤は大学の管弦楽団に入りました。 ある日、内藤とお茶の水の楽器屋でトローンボーンを物色中に中古のカスガ製バンジョーを発見。 内藤は早速衝動買い! その足で今はなき神田神保町のライブハウス「ブルーグラス・イン」で女性バンド「モーニンググローリー」のブルーグラス演奏を堪能しました。 その頃、関東の学生ブルーグラスサークルが壊滅状態の中、バンジョーを持った10代の若者が現れたことに周囲も興味を持ていただいたようで、早速内藤は質問攻めに! まだ弾いたこともないバンジョーを内藤は何故か「弾ける」と言い張っていたのを覚えています。 思い出せば、内藤という男は、昔から不思議な能力を持ち合わせていて、楽器にしても、勉強にしても、いつも一緒に居た私も知らぬ間にマスターすることが出来ました。 その晩は、「こいつはなんでここまでバンジョーが弾けると言い張るんだ」と私もあきれたのですが、次の日には、本当にバンジョーが弾けいていたことには驚きました。 それから公園や近くの小学校の校庭で、ギターとバンジョーで演奏をするようになり、これが私と内藤のブルーグラスの始めての演奏になります。