アレンタウンの天気

 今年は日本全国でゲリラ雷雨と呼ばれる突発的な豪雨と雷がありましたね。亡くなる人も出るほど大きな被害がでました。 雨や雷などの自然の驚異を実感した夏でした。
 ペンシルバニア州アレンタウンはアメリカでも比較的気候も穏やかで、竜巻の被害もハリケーンの被害もそれほど聞いたことがありませんし、冬は寒いですが、雪が何日も降り積もるよなこともまれです。 それなのに、地元の人は、とても天候には気を使っています。 
 会社での出来事ですが、地下の実験室にこもって仕事をしていて、午後4時頃部屋に戻ると社内に全く人が居なくなっていたことがありました。 何かあったのかなと思って人を探しまわると、わずかに日本人が2人だけまだ残っていました。 その二人の言う話では、「みんな”雨が降るからお前も帰ったほうがいいぞ!”と言って3時頃帰っていった」と言うのです。 特に外を見ても穏やかだし、帰りも車なので、気にすることもないだろうと思いながら仕事を続けていると、突然の豪雨がやってきました。 窓の外を流れ落ちる雨は滝を裏側から見ている様子。 直ぐ止むだろうということで3人で話をしながら時間を過ごしていても一向に止む気配はなし。痺れを切らせて、「車のところまで走りましょうか」と言ってみんなで別れたとたんに目の前のポールに雷が落ちて、一歩も会社から出られなくなってしまいました。 やっと雨も小降りになって、車で帰ると、交差点の信号が消えていてたり、いつも使っている裏道のガード下の道路は冠水で通行止めになっていたり、想像以上の被害でしたが、地元の人は危険予知が出来ているためか、外に出ている人はほとんど居らず、特に混乱もありませんでした。 そんな日が何日かありましたが、相変わらず遅くまで残って帰れなくなっているのは日本人でしたね。 ”日本人の自然に対する無知さ”を自分自身で実感しました。 今年のゲリラ雷雨は、日本人も天候に対してもちょっと危機感を持たないといけないなと昔を思い出させる天候でした。
 アレンタウンのケーブルTVでは(アメリカ中同じかと思いますが)、雷雨などの雲が近づくと、TVを見ているときに大きなアラーム音が出て危険を知らせてくれます。 結構雷雨が発生している場所が離れていて、まだ自分の周りは晴れているのに大きな音が鳴るのではじめは驚きます。
 日本の会社では、台風などの天気の悪い時は、会社のアナウンスで支持があって始めて早めに帰宅することはありますが、自分の判断で帰る人は稀ですよね。 危険は自己責任と考えると、自分の判断で帰宅したりする行動もこれからは必要な気がします。

 アレンタウンで”豪雨”と言うと、本当にすさまじい雨でした。 入社後半年間は、メインのビルディングから離れたおんぼろのオフィスが居室でしたので(アメリカの企業は、グループの力加減でオフィスの居心地や便利さも違ったりします。)、大雨が降ると、雨漏りが起こるため、その度に雨からPCを守るために毎回養生をして帰った覚えがあります。
 入社後間もなくのころ、ハイウェイを使って家まで帰ると近いという話を聞いて、同僚に聞いたとおりに初めてハイウェイで帰ったときのこと、出口の看板のついている位置が紛らわしく、出口から数十メートル手前のフィラデルフィアに向かうターンパイク(有料道路)に入ってしまったことがありました。 ターンパイクに乗ると、30km先の隣町まで出口もないし、土地感もないし不安になりながら一人何とか帰宅しました。 近道のつもりがとんだ遠回りになってしまいました。 やっと家にたどり着いた直後に、ものすごい豪雨になり、視界はほとんどゼロ。 後30分道に迷っていたら、今でも家に帰りついていないかも知れませんね。

 今年のゲリラ雷雨は、アレンタウンでの生活を少し思い出す天気でした。 自分も含めて自然を甘く見がちな日本人。 自然の怖さと恵みを理解して、もっと自然と人間が調和する気持ちを持つことが必要かもしれませんね。