バンジョープレイヤー桑原達也@全国バンド自慢コンサート2007


 バンド自慢コンサートが終わって、全国の桑原達也ファン、バンジョーファン、そしてブルーグラスファンはきっと「彼の演奏はどうだったのか?」と気になるところだと思います。 関東を代表する天才バンジョープレイヤーの達也君は、堂々と日本の天才バンジョープレイヤーに飛躍しましたよ!
 彼の演奏は、当日の出演者の中でも3本の指に入っていたことは確実です。 全バンドを見て、技術は確実に一番だったと私は思いますよ。 15歳で既に天才バンジョープレイヤーだった達也君も20歳ですから当然年齢のハンデはなし。 10才のギタリストにあれだけすばらしい演奏をされたら彼の技術を持ってしても簡単に賞を取るのは難しいですからね。 達也君の技術が高いという証拠に、審査員長の渡辺香津美さんは”ベラ・フレック”の名前を持ち出して、彼の演奏をとても褒めていました。 名ギタリストでもある司会の野口五郎さんも彼には大変興味を感じた様子で、インタビューが苦手で避けていた達也君が質問攻めにあってましたからね。

 全国バンド自慢コンサートでバンジョーの演奏をはじめて聞いた方に簡単にバンジョーの紹介・説明です。 
今回達也君が演奏したバンジョーが普通の弾き方と言えば、多くのバンジョープレイヤーが首を横に振ると思います。 彼の演奏の中には究極の技術がふんだんに盛り込まれているのです。 普通に弾いたら彼は完璧なバンジョーを弾くことができます。 バンジョーを弾き始めて半年以内で彼はスタンダードなバンジョー奏法を既に身につけていました。 ブルーグラスに使われる5弦バンジョーは、オープンGのメジャーコードチューニングで5フレットには5弦を留めるペグが着いています。 そしてこの5弦は1弦の5フレットを押さえた音と同じという特殊なスケールを持った楽器です。 ブルーグラスのようなメジャーコードで展開する音楽では、完璧なメロディーを奏でますが、マイナー、ディミニッシュなどのスケールを奏でるにはかなりの技術を有します。

 変則的な弦配置とチューニングを持つバンジョーが何故あれだけ早いメロディーを演奏できるかといえば、アールスクラッグスやドン・レノ、ラルフスタンレーと言うプレイヤーが発明した基本的な奏法(指使い)が何種類かあるためです。 この奏法を指が覚えることで、指が勝手に早いメロディーを奏でてくれるようになります。 この奏法はブルーグラスのような音楽にはとても合うのですが、ジャズやブルース、その他のジャンルにあわせるのは容易ではありません。
 現在達也君はブルーグラスバンドのほかにもブルースやジャズにバンジョーを取り入れて、バンジョーの可能性に挑戦しています。 本場アメリカでこのようにジャズやロックにバンジョーを取り入れているのが渡辺さんが例に挙げた”ベラ・フレック”です(日本にも”原さとし”さんというバンジョーの可能性を広げているプロバンジョープレイヤーがいます)。 さすが渡辺香津美さん、達也君の演奏の中にそれらの要素を見出したのでしょう。 そういう背景を理解していただければ渡辺香津美さんがおっしゃられた「バンジョーはもっともっと可能性を持った楽器だと思います。 可能性にチャレンジしてこれからも続けてください」というコメントの意味が皆さんにもわかっていただけるのではないでしょうか。
 ステージ上で渡辺さんからこの言葉を聴いたとき、達也君の演奏に対して、また我々の音楽に対して、とても高い評価をしてくれたなと私は感激しました。 
 フィナーレ後、渡辺香津美さんと達也君が握手をしたときに渡辺さんが彼に確かめるように「頑張って続けてね!」と伝えていたのを聞き逃しませんでしたよ。
 この言葉の意味は達也君自身が一番強く感じていると思います。 今後の彼の活躍に期待ですね。

 西岡たかしさんはアコスティック音楽の専門家ですので、アコスティックの演奏で苦労したり、気を使うところを的確に褒めていただきました。 アコスティック音楽を演奏する人なら感じ取れる嬉しいコメントでした。
 グッチさんにはバンドの”乗りの良さ”を強調して褒めていただきました。 すべての音楽に共通する大切な要素は、音量でもスピードでもテクニックでもなく”乗り”なんですよね。 YHSのソリスト達の個々の技術は、どのバンドにも劣ることはなく優れたものだと私は思っています。 それを生かすも殺すも”乗り”です。 バッキングを担当するYHSのギター、ベース、マンドリンマンドリンは優秀なソリストでもありますが・・)は、地味な役ですが常に”乗り”を出すにはどう弾くべきかを意識しています。 YHSの乗りには”他のブルーグラスバンドと違う乗り”があります。 これはYHSの企業秘密ですが、ロック、フュージョン、ジャズ、フォーク、パンク、クラシック、ポップスなど様々なジャンルを経験してきたYHSのメンバーが編み出した演奏方法です。 その点をグッチさんに褒めていただいたのはYHSにとって最大の賛辞です。 

 我々YHSメンバーは、今回のコンサートは大成功だったと感じています。 久しぶりにいろいろなジャンルの音楽が聞けて、観客としても楽しめました。 10代の天才プレイヤー達。 若い人に学ぶことは多いですね。 感動するコンサートでした。 

 全国の桑原達也ファンのみなさん安心されましたか。 10/28のBS2での放送を楽しみにしてくださいね。